民間保険会社のがん保険に関する記事です。
二人に一人ががんになると言われる現代に、がんin保険に加入している、もしくは加入を検討している方も多いのではないでしょうか。
昨年、義父が肺がんと診断されました。
何か症状が出て見つかったわけではなく、偶然別の診察のために撮影した画像検査において見つかりました。見つけてもらえたこと自体ラッキーでした。
義父は20代からずっと喫煙者であり、肺がんリスクは常に抱えていました。
遺伝子から考えてもがん家系です。義父の母親もがんで亡くなっているとのこと。
そんなことから義父は民間のがん保険に加入していたんです。
その保険から保険金が支払われるため、金銭面では少しだけ余裕を持って治療に専念できます。
しかし、その保険金の額や、契約内容をさらっと聞いて、計算してみると、
「あれ?がんになっても赤字?」
ということが発覚しました。
今回は、がん保険を使った実例の記録です。
この記事を読んでいただければ、がん保険に入るべき状況、がん保険に入らない場合のがんに対する準備、対策がわかります。
肺がんと診断された義父の実例
義父の肺がんは喫煙によるがんだそうです。
かなり初期に見つかり、検査の結果転移もなく、ステージ1でした。
義父はまだ現役の会社員ですので、定期健康診断は受けていました。人間ドックもです。
しかし今まで肺を指摘されたことはありません。
今回別件の検査を受けており、たまたま見つけてもらったものなんです。
肺に何かあるから、今後大きくなったら恐らくがんですと言われてから約6ヶ月。同じ画像検査で大きくなっていることがわかり、診断に至りました。
その別件がなければ、肺がんは放置され、来年あたり危険な状態になっていた可能性も充分に考えられます。
治療は手術と数日の入院で完了するそうです。
義父が加入していたがん保険
義父はがん保険に加入しています。
某大手外資系保険会社の有名保険です。
会社の団体割引で契約しているそうです。
20代から契約しているとのこと。
がんと診断されたら一時金が給付されるシンプルな内容です。
給付額は100万円。
主に治療や入院に当てる給付金です。
しかし、年齢により減額される契約内容でした。
65歳以上は半減し、50万円の給付です。
保険料は月々2100円。年間25200円です。
ここで、
「ん?」
という違和感を感じました。
「その保険、高くない?」
払い済み保険料総額と受給見込みの保険金
月々2100円。会社の団体保険というと、恐らく1年契約かな。
恐らくと使ったのは、興味があるからと言って義父母に保険の詳細を気軽に聞けないからです。
義父母は、お金の話を嫌います。実の子である夫や義妹にもお金の話は全くしなかったそう。
夫は小さい頃からお金に興味があったらしく、
「これはいくらするの?」
といろいろな質問をしても、
義母から
「子供はいいの!」
と一掃され、お金の話は子供には汚い。危険といった考え方だそうです。
それは孫に対しても変わらず、夫が娘によくお金の話をしていると嫌な顔をしています。
子供にとってお金の話は大切だと思っています。
お金の知識が0に近い子と、ある程度お金の知識を教え込まれ、自立と同時に知識を実戦できる子では将来が同じなわけがないからです。
私達夫婦もお金の知識に関しては独学が大半なため、主に税金や資産運用の分野において、社会に出た当初からもっとできることがあったなと、今では思うところがあります。
お金の話をしたがらない義父母からは保険の話や治療費の話は聞きにくく、今回の情報は薄いですが、それでも月々の保険料は上記の通り聞けました。
いつ契約したの?と聞くと、かれこれ義父が20代の頃から加入しているとのこと。
ということは、
今60代半ばの義父、加入したのが30歳からと見積もり、35年間契約を継続してきたとして、
年間保険料25200円ですから単純に、
25200円 ✕ 35年 = 882000円
払い込んできたことになります。
今回初めてがんと診断され、給付される保険金は一括100万円。プラスかと思いきや、
保険金は65歳から半額となります!
つまり50万円。382000円の赤字です。
時代の流れによるインフレも考慮し、30代、40台の頃は保険料ももっと安価だったことが考えられますが、それでも赤字じゃない?と思ってしまいます。
やはり保険は資産運用ではなく、大方の人が損をし、極稀な、アンラッキーな方を助けるシステムなのですね。
65歳から半額って‥
いくら二人に一人ががんになるって言っても、高齢になってからがんになる人のほうが多いはずです。
こんながん保険なら、私達夫婦には不要だなと結論づけました。
では将来、がんも含め、医療費として備えるにはどうすべきでしょうか。
【まとめ】がん保険に加入していない夫婦の対策
私達夫婦の対策は、保険ではなく、貯蓄!
「生活防衛資金」です。
生活防衛資金については以前の記事があります。
義父のように60代で現役会社員だった場合、社会保険である健康保険から給付が大きいです。
高額療養費制度の付加給付と、
傷病手当金です。
高額療養費制度は
100万円かかった治療、入院でも月額上限額を設けることで自己負担を助けてくれ、さらに手厚い付加給付制度が設けられていると、更に自己負担額が軽くなります。
夫の会社の給付内容だと、月額25000円の自己負担になります。
先進医療を使って治療をしなければ、このくらいの負担になるということ。
給付金が事後で納付される場合は、立替えられるだけの貯蓄があれば安心です。
マイナンバーカードを使って窓口精算すると、高額療養費適用の自己負担額で済む制度もあるそうです。
続いて闘病が長期にわたり、長く休職が必要となった場合に備えるには、傷病手当金が活躍してくれます。
標準報酬日額の3分の2を給付してもらえる制度であり、働けなくなってから数えて4日目から給付されます。
夫が支給されたとすると、月額に換算して、
約226700円を1年6ヶ月に渡って給付してもらえる計算です。
これは闘病中の生活を支えるお金です。
闘病中ですからそれなりに消費生活は小さくなることが予想できますが、入院や退院後のケアに使う道具などは購入の必要性がでてくるかもしれせん。
しかし、闘病中は貯蓄に回す分をカットしたとすると、226700円あれば生活は可能です。そこに私(配偶者)の収入があると思えば、安心して治療に専念できると予想します。
生活はこのように支えるとして、
肝心の入院費、治療費はというと、生活防衛資金から負担します。
我が家の生活防衛資金は1年分に相当する300万円ほどです。
可能性は低いですが、先進医療を受けることになっても多少なら対応ができます。
保険適用の治療で済むのであれば、差額ベッド料(個室代)が発生しなかったとすると、1年入院しても大丈夫そうです。
このような概算から私達夫婦は民間の医療保険、がん保険には加入していません。
これまで書いたように、たとえ大病を患ったとしても、豊かな人生を歩むには、今運用している金融資産を取り崩さなくても良いように準備しておくことが大切だと思います。
がんをはじめとする大病を患った場合、精神的肉体的ストレスが家族に降りかかります。
家族が一致団結し、闘病生活を乗り切るにはせめて、家計管理だけでも盤石にしておきたいものです。