看護師のパートタイマーとして働いています。
かねてから職場の社会保険に加入したかったのですが、このたび
「労使合意」を経て加入できるようになりました。
全国的にも珍しい社会保険の加入方法なので、誰かの役に立てればと思い、記事にしました。
国民年金&国民健康保険よりも職場の社会保険に魅力を感じる理由
私は令和5年11月現在、国民年金第一号被保険者です。
つまり自営業者と同じ区分となっています。
夫の扶養からは外れており、自分で国民年金保険料を支払い、公的医療保険は国民健康保険に加入しています。
令和5年の国民年金保険料は16,520円。
サラリーマンや公務員は国民年金第二号被保険者に該当し、その保険料は雇用者と労働者が労使折半して(割り勘)支払います。
個人の保険料を会社が半分払ってくれるということです。
しかも老後に受給できる老齢年金は厚生年金を加えた2階建てとなり、厚生年金保険料を支払うことで、将来もらえる年金の額が増えていきます。
しかし、第一号被保険者である私は、厚生年金保険料を支払うことも、老後もらえる年金を増やす事もできず、自己負担額を労使折半してもらうこともできないので、パートの給料から国民年金保険料を支払っていかなければなりません。
国民健康保険の保険料も当然100%自力で支払わなければなりません。こちらは市町村に支払いますので、市町村によって保険料が異なります。
私は月額5,000円支払っています。安価な方だとは思います。
しかし、国民年金と合わせて毎月21,520円を社会保険料として負担しなければなりません。
職場の社会保険に加入でき、社会保険料を労使折半してもらったとしても、今と同じくらいの自己負担額となる予想です。
異なるのが社会保険内容です。違いは大きく分けて2つ。
②国民健康保険よりも手厚い保障の健康保険に入ることで各種手当金が受給できる。
同額を支払い、このような処遇改善がなされると思えば加入は必須に感じますよね。
まず①の解説です。
職場の社会保険に加入できれば、国民年金第一号被保険者から第二号被保険者に変更となります。
国民年金の2階建て部分である、
厚生年金に加入するということです。
厚生年金保険料を払うことで、パート主婦の給料では微力ですが、将来にもらえる老齢厚生年金が増えていくことになります。
「国民年金と比べると厚生年金の利回りは低い。」
とおっしゃるインフルエンサーもみえますが、厚生年金に入っても「今」と同額の保険料なのに、受け取れる年金が増えていくほうが良いと考えています。
年金が増えるのに保険料が「今」と同じくらいで済むのは労使折半のおかげです。
男性の平均寿命は現在82歳と言われており、夫婦揃って平均寿命まで生きられるとすれば、65歳の定年退職から17年あります。
この17年はダブル厚生年金を受け取れるということです。
「男性の方が短命なんだったら、私(妻)はどうせ遺族厚生年金を受給することになりそう。だから私自身の厚生年金を増やすことは考えなくていい。」
と考えるのは時期尚早ではないでしょうか。
老齢年金は長生きリスクへの「保険」です。夫婦で長生きする将来に備えて準備する方が合理的だと考えます。
ダブル厚生年金をもらいながら、のんびりと老後生活を送りたいものです。
続いて②の解説。
国民健康保険から職場の健康保険に変更になることにも魅力がたくさんあります。
職場がどんな健康保険なのかにもよりますが、代表的な魅力の一つが
「傷病手当金」です。
傷病手当金制度は国民健康保険にはありません。
国民健康保険に加入している今の私が一ヶ月入院することになれば、入院や手術に対して高額療養費制度は適用になりますが、入院中の収入は0円です。
当然といえばそうなのですが、傷病手当金があれば入院4日目から手当金を受給し、生活費に当てることができます。
その額は1日当たり「標準報酬日額の3分の2」となっており、家族の生活を支えることは難しくても、入院費用に当てることはできそうです。
その結果、公的医療保険と貯金で対応出来るようになり、民間保険会社の医療保険等が不要と判断することができます。民間医療保険に支払うはずだったお金が浮くことで、実質的に自由なお金が増えます。
傷病手当金以外にも、高額療養費附加給付金や、出産手当金など、国民健康保険にはない魅力がたくさんあります。
職場の健康保険に加入できるということが私のようなパートタイマーにとっていかにメリットの大きいことか、おわかり頂けたのではないでしょうか。
そもそもなぜ今まで職場の社会保険に加入できなかったのか
厚生労働省のホームページには現在
「社会保険適用拡大特設サイト」
が設けられています。
そこには「2022年10月以降新たに社会保険の適用対象になる方」が掲載されています。
それによると、
①従業員数101人以上の職場である。
(2024年10月以降は51人以上)
②週の所定労働時間が20時間以上30時間未満である。
③所定内賃金が月額8.8万円以上である。
④2ヶ月を超える雇用の見込みがある。
⑤学生ではない
ことが条件です。
私は①以外がすべて当てはまっていました。
しかし、①が該当していなかったため、職場の社会保険には入れず、8.8万円以上月給をもらっているため夫の扶養からは外れていたわけです。
職場の社会保険には来年(令和6年)加入できると思いこんでいました。
私の職場はグループ企業であり、その一部が訪問看護ステーションを運営しています。私はそこに所属しているのですが、グループ全体では100人弱の従業員がいます。
ですから2024年10月以降は職場の社会保険に加入できそうだなと思っていたのです。
しかし事務局に問い合わせたところ、
「yumeyomeさんは入れませんよ。従業員数は事業所単体で計算するので、そのステーションでは従業員は10数名となるんです。」
とのこと。
落胆しました。
しかし、夫は諦めていませんでした。
私が職場の社会保険に加入させてもらえるよう何か方法はないものか調べました。
その結果、日本年金機構のホームページで
「労使合意による任意加入」ができることを知ったのです。
労使合意とは、私のように職場の社会保険に加入できない人が社会保険に加入することに関し、従業員の2分の1以上と事業主が
「加入していいよ。」
と合意することで任意加入するというものです。
夫から提案されたとき、正直これはハードルが高いなと思いました。
しかし、頑張って労使合意できれば処遇は好転間違いなし!
子供が3人いることから健康保険の保障内容も魅力的です。
今の職場で働き始めて1年が経過したら、社長に相談する機会を探ってみようと考えていました。
そして、その時がやってきたのです。
労使合意への道①〜社長との面談
きっかけは上司と雑談中に社会保険について相談したことです。
国民年金と国民健康保険の負担が大きいですと愚痴をこぼした際、
上司は
「社長に聞いてみたら?」
とフランクに一言。
ではそうしよう!ということで社長に連絡し、面談してもらえることになりました。
トントン拍子に思えますが、実際にトントン拍子でした。その理由は労使合意の対象となる短時間労働者が職場の中では私1人だけだったからです。
労使合意で社会保険に任意加入することになる従業員が多ければ多いほど、総意を取ることも大変であり、社長からオッケーされる可能性も低くなります。任意加入の人数が多ければ、その分労使折半による事業所の社会保険料負担も大きくなるからです。
そして先日、面談の日がやってきました。
とても緊張しました。
「拒否されるのではないか。」
「経営の負担になるから、合意の可否は決定まで数日かかるかなぁ。」
「怒られないかな。」
など、色々考えて行きました。
いざ社長に打ち明けると、
「そんな方法があるんやなあ!僕も何とかしたりたいと思ってたんやけど、それは知らんだわ!さっそく世話になってる社会保険労務士に聞いてみるわ。」
と即快諾!
従業員の保障を大事に思ってくれている良い社長でした。
本当に嬉しく、安堵しました。
「もし、合意してもらえるならどのような書類や手続きが必要かはこちらで調べてみます。」
と伝えると
社長「そんなんこっちでやるからいいよ!なるべく12月から加入出来るように頑張るわ。」
とのこと。
「ありがとうございます!」
と伝えて別の話になりました。ものの10分ほどのことです。
まさかこんなにすんなりオッケーしてもらえるとは思ってもいませんでした。
よくよく聞いてみると社長は
「yumeyomeさんから話があるって聞いて、辞めたいって言われるんやないかとビビってたんやわ。」
とのこと。
これからもがんばりますよ!社長!
実際に加入できればその経緯も記事にします。どのような手続きがなされ、実際の自己負担額や場は保証内容も書きますので、是非お読みください。
続く。
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